私たちが銘酒"女城主"と"ゑなのほまれ"に恋するワケは、その繊細なバランスにありました。

恵那市岩村町で、今年法人設立100周年を数える酒蔵、岩村醸造
地元飲食店やスーパーなどですっかりお馴染みの女城主や、長年に渡って愛されてき
ゑなのほまれを飲んだことがある、目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

実は女城主は、岩村城ができて800年のメモリアルイヤーである1985年に「女城主という名前の土産物が作れないか」と考えられて誕生したブランド。

そして「えなのほまれ」も11年ほど前にリブランディング(ブランド再構築)されているお酒…と、意外にもここ数十年で、お酒のラインナップやブランドが変わっているんです。

名古屋の居酒屋でも女城主を目にすると頼んでしまうほどには女城主ラブ!な編集部。
誕生から約35年の女城主、そしてリブランディングされたゑなのほまれの美味しさの秘密を知るべく、岩村に行ってきました!

岩村醸造7代目、渡會さん

 岩村醸造の始まりは、今から235年前の、1787年。元々は岩村城の運送業・旅館・米作りが生業でしたが、そのお米を使った副業として、大徳屋酒店という屋号で酒造りを始めたのが成り立ちです。

その後大正2年には、岩村町2番目の株式会社として岩村醸造を設立。今年2022年で235年目を迎えます。

 現在社長をつとめ、今回お話を伺ったのが、7代目社長渡會 充晃 (わたらい-みつてる)さん。

岩村醸造の7代目として、岩村で生まれ育った渡會さん。小学校のアルバムに「将来の夢は跡継ぎ」と書くほどに(!!)、小さな頃から跡継ぎとしての意識を持っていたのだそう。高校卒業後は、東京農業大学の醸造学科へ進学。その後、県外の酒蔵で2年ほど修行したのち、25歳のときに岩村へUターンします。

「ここを継ぐものだと思って育ったのもありますが、実際に酒造に入ってみると、蔵人とお酒を作り、ラベルデザインをしたり、そして商品が世に出て、お客さんに喜んでいただいて、すごく醍醐味があるなあと。酒造りの面白さを知って、これはやってみよう!と思うようになりました。」 

現在は社長としてプロデュースや営業に専念する渡會さんですが、自身を「元々は商売人というより、研究肌」だと言います

その言葉通り、実は渡會さんには利き酒の名手としての一面も。
鑑評会(日本酒のコンクール)で、岐阜県、東海4県、そして全国の場でも審査員を務めたほど。渡會さん曰く「利き酒はトレーニング」とのことですが、利き酒の時はかなり集中し、"味の形がイメージできる"ほど、繊細なところまで味が分かるのだそうです。

酒造りの現場を担っているのは、恵那市正家出身の杜氏さん渡會さんがお酒のイメージを考えて"お酒の設計図"を描き、それを元に杜氏さんが、どういうお米や酵母で作るのかを決めてお酒を作っているんです。

人の味覚をくすぐる一杯。

そうなると気になるのは、やはり、看板商品"女城主の設計図"渡會さん「"女城主らしさ"っていうのがあってね」と言い、こう続けます。

一杯飲むでしょ、そうすると知らない間にまた注いでいる。これが女城主らしさ。

例えば飲食店に行って、お酒を1杯飲む。これは甘いな!とか派手な味だな!となると、次のお酒に行ってしまうし、逆にあまりにもクセがないと、他のものを試したくなる。

でも、ここで"もう1杯!"となるのが女城主。苦味、旨味、香りなどの色んな要素のバランスが整っていて、人の味覚を上手にくすぐるお酒なんです。」

言われてみれば、たしかに編集部も「知らない間にまた注いでいる」経験が…。飲食店に行って、他にいくつもお酒のある場面でも、女城主をもう1回頼む経験、したことがある人も多いのではないでしょうか?

この美しいバランスの裏付けに、フランスの Kura Masterという、主にフランス人のソムリエが審査をする日本酒のコンペティションで、女城主は2016年、2017年、2018年、2020年には金賞、そして2021年にプラチナ賞を獲得しています。


Kura Masterの賞状。

「食に関して非常に繊細で美的センスがあるフランスで、岩村醸造の柱となるブランドがプラチナを取れたのは嬉しいことです。女城主は、どこかが飛び抜けているわけではなく、やはり香りと味のバランスが評価されているんだと思います。」

甘さには酸味が必要。ゑなのほまれのリブランディング

もう1つ大切な岩村醸造のブランドがゑなのほまれ

実は渡會さんが社長に就任してから手掛けたのが、ゑなのほまれのリブランディング、つまりブランド再構築なんです。ラベルの変更に加えて、味もより洗練されたお酒へと磨き上げられました。

ゑなのほまれは、淡麗辛口が流行った時代においても、甘口のお酒として作られ続けてきたお酒。リブランディングの際も、渡會さんは甘さを大切にしたのだそうです。

「お酒の味は、いろんなバランスがあって成り立っています。日本酒というと辛口のイメージを持たれる方が多いですが、甘味も必要な味なんです。それでいて、甘さを上手に表現するには、酸味が必要。ただ甘いだけではない甘口を表現しています。」

甘口というと敬遠する人も多いですが(実際、編集部もついつい、辛口のお酒を探して買いがち)、えなのほまれには、甘口という言葉が持つイメージを超えた、キレのあるまろやかさが感じられます。

でも、渡會さん、どうしてわざわざブランドの再構築をしたんでしょう?

"ゑなのほまれ"ってすごい名前のお酒ですよね。女城主が看板商品として売れていく中で、もっともっと、ゑなのほまれを知ってもらいたい!と思って、さらに洗練されたお酒にしようと考えたんです。」

地酒としてのこれから

渡會さんの言葉通り、「女城主」「ゑなのほまれ」そして「岩村醸造」…と、岩村醸造には、地元との密接な関わりが随所に表れています。

例えば、酒造りに使われている水。岩村醸造の蔵の裏から湧き出ている水を使っており、これは酒米が育った水と同じ水質のものなんです。

酒造りだけでなく、岩村醸造の販売スペースの空間プロデュースや、電気自動車の充電スタンド設置、また2022年には、恵那市内の成人式の出席者に岩村醸造のお酒をプレゼンントするという企画をリリースしたりと、岩村に人が来る仕掛けをいくつも打ち出しています。

「"岩村"醸造と、街の名前が会社の名前になっているのはすごいことだと思っています。最近は、お酒のブランド名が社名になるのが流行りですが、このまちで商売ができる感謝と誇りを感じているので、ずっと岩村醸造という名前でやっていきたいです。」

今後は「酒造りが発展するような、酒造り以外の仕事もやっていきたい。街に人が来てもらうきっかけを作っていきたい。」と話す渡會さん。

岩村城下町に構える岩村醸造は、江戸時代に建てられた築300年ほどの家屋を当時のまま残しています。ぜひ、実際にお店を訪れてみてください。

オンラインショップはこちらから!

=====

<編集後記>

「一杯飲むでしょ、そうすると知らない間にまた注いでいる。これが女城主らしさ」という言葉に、食い気味に「たしかに!!!」(そして、結果いつも飲みすぎる!!)と言葉が漏れた取材でした。

甘口、辛口、といったバランスだけでなく、お米と水の組み合わせ、地元へのこだわり…と、様々な要素が重なり合うことで、岩村醸造のお酒が完成していることを感じました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。