【お出かけ】話題の展示!中山道広重美術館「ゆる旅おじさん図譜」の担当学芸員さんに会ってきた。

展示室入り口

岐阜県恵那市の中山道広重美術館にて開催されている展覧会『ゆる旅おじさん図譜』が、”センス良すぎ!”と話題を呼んでいます。
「普段は美術館に行かないよ〜。」という人も、思わず”おっ!”と気になる展示タイトルなのでは?

企画したのはどんな人?
どんな内容の展示なの?ということで、おへマガ編集部が学芸員さんに突撃取材してきました!

|ゆる旅おじさん図譜の”中の人”に聞いてきた。

恵那駅から徒歩3分の場所にある中山道広重美術館。
歌川広重や歌川国芳の浮世絵版画など、とても質の高い浮世絵など約1400点を所蔵。ほぼ毎月作品が入れ替えられて展示があり、年に2回特別企画展も開催されています。

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▼今回の展示は、広重の街道絵に描かれる旅人たちを愛情を込めて「おじさん」と呼び、風景ではなく登場人物にフォーカスしたもの。

ゆる旅おじさん図譜

宿場の名物をおいしそうに頬張るおじさん、タバコで一服するおじさん、ちょっと疲れた顔のおじさんなどなど、クスッと笑ってしまうような表情や仕草をするおじさん達に、思わず引き込まれてしまいます。

▼企画を担当したのは、2015年から中山道広重美術館で学芸員として働く中村さん。
ゆる旅おじさん図鑑_中村さん
(顔は恥ずかしい・・・とのことで、チラ見せでのご出演。)

ー”おじさん”がテーマの展示。わー!!すごいテーマで切り込んできた!というのが、最初にチラシを見たときの率直な感想です(笑)どうして今回このテーマに?

「以前から、広重の風景画に登場する小さい人物って、意外とかわいいしお茶目だな〜おもしろいな〜と思っていて、いつか人物に焦点を当てた展示ができたらいいね!と、館内のみんなで話していました。

広重は、みなさん”風景画の絵師”と思ってらっしゃる方が多いと思うのですが、景色だけを描いているのではなく、たくさんの”人”が登場します。人間の営みの中にある風景や場面を描いていて、どれも”人”がいてこそ引き立つ風景だなぁと思っていました。」

歌川広重

「当館には3名の学芸員がいて、それぞれ季節毎の展示や特別展を担当しているんですね。今回は”旅”が展示テーマの軸にあったのですが、1年に1回くらいこういう切り口があってもいいのかな?って。(笑)

浮世絵って、今でこそ美術的価値があるものとして認知されていますが、元々は気取って見るものではないんです。今でいう雑誌、旅行ガイドブックのような感覚と言うんでしょうか。

だから、”美しさ”という視点での評価や、単に宿場順にならべて展示するのではなく、人物にフォーカスすることで浮世絵本来の楽しみ方やこれまでとは違った見方を提案できたらいいなと思いました。」

|推しおじさんを見つけよう!

今回の「ゆる旅おじさん図譜」では広重の44作品が展示されており、その全てに中村さんによるコメントや注目ポイントの解説が添えられています。

解説パネル

▼注目すると楽しい”おじさん描写”の目印として、おじさんパネルによる案内も。
ゆる旅おじさん図鑑

「例えばここは、一服おじさんゾーン。おじさんの中でも、特にキセルを咥えた人に注目してもらえたら!と思って並べました。
この時代の作品には、こうした人が多く登場するんですよ。江戸時代は、タバコ文化が一般庶民に爆発的に広がった時代で、携帯用のタバコBOXもファッションアイテムとして発達していきました。

こうした視点で並べると、おなじ”一服している人”でも、一枚一枚一人一人書き分けがされていることだったり、その時代の人々の暮らしぶりだったりを、私も再度感じました。」

▼ここは名物を食べているおじさんゾーン。お団子やお菓子など、それぞれの宿場でおいしそうに頬張るおじさん達が、なんとも可愛い・・・!ゆる旅おじさん図鑑

▼編集部そのはらが、一番萌えた作品はこちら。

画像提供:歌川広重「東海道 十 五十三次 小田原」(中山道広重美術館蔵)

この川には橋が無く、川越人足(にんそく)という人が客や荷物を担いで渡ったのだそう。
よくよく見ると、手前の岸でじゃんけんをしているようなおじさん達の姿が・・・!

荷物を運ぶ順番を決めているの?誰が一番重い荷物を担当するのか決めているのかな?休む順番かな?なんて妄想が膨らむのと同時に、広重が切り取る人間らしさにトキメキました!

|見方の提案をするのが、美術館としての役目

「今回は風景そのものにはあまり言及しないで、おじさんたちの表情や行動がどんなことを言ってそうか?表してそうか?を私なりの解釈で解説しています。おこがましく、こういうテーマでみてください!とはあえてしないようにしました。

決まりとった見方、一般的に評価されている”素晴らしさ”だけが見方ではなく、どんな見方をしてもいい。それぞれ違っていいんです。まずは、肩の力を抜いて広重の世界を楽しんでもらえたらとても嬉しいです。」

企画「ゆる旅おじさん図譜」は、2018年3月1日(木)〜4月1日(日)まで開催中です。
今まで歌川広重の浮世絵を見たことない!という方にこそ、とってもオススメの展示です。ぜひお出かけくださいね!

中山道広重美術館_外観

企画展「ゆる旅おじさん図譜」
会 期:2018年3月1日(木)〜4月1日(日)
休館日:毎週月曜日、3月22日(木)
会 場:中山道広重美術館 展示室1(1階)
時 間:9時30分〜17時(入館は16時30分まで)
観覧料:大人510円 18歳以下無料(団体割引あり)
障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料
毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料)
web:https://hiroshige-ena.jp/