恵那市明知城(別名白鷹城)

織田信長と武田信玄の勢力争いの最前線となった地のひとつとして恵那市に明知城/別名白鷹城(以下明知城)があります。
今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の軸となる源頼朝の重臣の1人が加藤景廉(かげかど)。
景廉の孫である遠山影重が築城とも伝わるお城。
因みに隣の岩村には日本三大山城の岩村城があり、この岩村城を中心とする「遠山氏」は景廉の長男景朝(かげとも)から始まっています。

全体図

明知城は岩村城や苗木城のような「山城」に分類されます。
文字通りの山の中に造られたお城で、信長や秀吉の時代までは主流でした。
(名古屋城のように平たい場所がメインになっていくのは信長死後の秀吉や家康の頃から)

明知城は山城の中でも規模が大きく、下から歩いて1周したら1時間弱の軽登山。
トレッキングシューズ推奨。
森にも囲まれ暑い時期は虫も出ますが、山城特有の構造も堪能できるためコアなお城巡りの入り口にも最適。

石垣のない土の城

明知城の特徴のひとつが「大規模な土の山城」
東美濃地方の岩村城や苗木城は高い壁を石垣で固めていますが、そこを地面を削ったり固めたりの加工だけで造るのが土の城。
その土の時代最後のお城の1つでもあります。

画像は岩村城の代表的スポット。
ここまでの規模となると土だけでは難しく、補強を重ねた結果に6段まで石垣が増えたのだそうです。

畝状竪堀群

土の城の時代だからこその特徴もしっかり残っています。
そのひとつが「畝状竪堀群(うねじょうたてほりぐん)」

まずは「竪堀」と呼ばれる上から下までの溝を造り、敵の横移動をジャマします。
「竪堀」単体でも幅や深さが最低3~5メートルと大きなもの。
この竪堀を並べて凹凸の地形(畝状)にしたものが畝状竪堀群。
(因みに上下の通路を遮るように横に掘るのが"横"堀。近くの阿木城や前田砦では大規模な横堀が見られます)

竪堀は1つだけでも幅と深さの最低が4~5メートルと大きな面積が必要なため、畝状に並べようと思うと一部の大きな土の城にしか見られない貴重な遺構。

動画にて。
この凹凸が下まで続いているのが畝状竪堀群。
草木の枯れる冬や整備のタイミングなどによっては下段まで歩けることも。
そうやって地面の凹凸をダイナミックに堪能できるのも土の城の醍醐味。
上記のように土の城の中でも畝状竪堀群が作れるのはそれなりの大きさが必要となるため貴重な遺構となっています。

大正ロマン館

パッと全体図を体感したい!という方におすすめなのが明知城麓の大正ロマン館。
2021年の大河ドラマ「麒麟がくる」ではここでも大河ドラマ館が展開され、その展示の1つである「東美濃の山城」
地形のジオラマが大規模に展開され今でも続いています。
視覚的にストレートに立体を感じられるため、これはミニサイズでも色んな所でやって欲しいくらいの展示。

こうして見ると街道を支城(画像右の仲深山砦)で挟んでいたりと、お城をその地域の地理的に俯瞰して楽しめる企画。
歩く前に観ても、観てから歩いても、もしくは2周しても楽しめる素晴らしい企画。
※仲深山砦も整備され登れるようになっていますが、登山装備だけでなくある程度の経験必須です。

大正ロマン館

開館:09:00~17:00
休館日:12/29~1/3
料金:大正ロマン館のみ300円 大正村フリー切符700円

食べ歩き

ソフトクリーム & ハヤシライス

麓では色んなグルメが楽しめます。
こちらは大正浪漫亭の「醤油ソフトクリーム」
ソフトクリームに醤油?!と思うとビックリしますが、普通に美味しい。
洋風みたらし団子みたいな感覚。
製造元のマルコ醸造さんでも楽しめます。

第29回山城サミット恵那大会

平成6年に兵庫県からスタートした山城サミット
今年は10月22日(土)、10月23日(日)の2日間に渡って恵那市で行われます。
ラジオDJのクリス・グレン氏や「岐阜の山城ベスト50」の著者中井均氏、笑点でおなじみ春風亭昇太師匠など、各種著名人を迎えての開催。
山城にのめり込んでる方もちょっと興味がある方もお勧めのイベントです。
また、マルコ醸造さんの商品も入ったオリジナルのギフト&おみやげセット「てらすBAKO」も好評販売中です。

最後に

同じ東美濃地方の岩村城や苗木城と比べると知名度は1歩引いてしまう明知城。
とはいえ土の城の入門編としては最適なお城です。
大河ドラマで注目された明智光秀関連だけでなく、同時代の城主遠山景行に関わる史跡(自刃の地やお墓など)も多く、同じ恵那地や中津川市では前述のような「土の城」の更に深部を楽しめる前田砦や阿木城、阿寺城などもありディープでコアな世界のキッカケとしてもオススメです。

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